オーケストラアンサンブル金沢の新音楽監督に望む

2017.08.12 Saturday

 オーケストラアンサンブル金沢(OEK)の井上監督退任が発表された。初代監督の岩城宏之さんが亡くなって11年。その間に、OEKがより地元に親しまれる存在になったかといえば、残念ながらそうとはいえない。
 わたしは大学のブラスバンドで、今は世界的な指揮者になった佐渡裕さんの指導を受けたことがある。佐渡さんはたびたび学生の練習に付き合い、自宅で奥さんの手料理を振舞い、わたしたちのような素人にも熱く音楽を語ってくれた。
 佐渡さんは地方大学のフルート専攻だったので、普通なら世界的な指揮者になるチャンスはなかったが、あきらめずに挑戦し続けたことで巨匠レナード・バーンスタインに才能を見出され、世界各地のオーケストラを指揮し、世界最高峰のベルリンフィルにも客演した。
 佐渡さんは音楽を通して、何事にも本気で取り組めば夢はかなうと教えてくれた。
 演奏会の打ち上げで佐渡さんは、100人以上の学生たち一人一人にイラストとメッセージ入りの色紙を書いてくれた。「本気で音楽しようぜ」と書かれた色紙はわたしの宝物だ。
 OEKの新監督には、佐渡さんのように自分から地域に飛び込んで、普通の人に音楽の素晴らしさを伝える、熱い魂を持った人になってほしい。

(2017年8月12日北陸中日新聞モーニングサロン掲載)

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